全宇宙は収縮の一途をたどっていた。なかを漂うドーム都市“シティ5”もまた、直径数キロの宇宙に閉じこめられたまま、終焉を迎えるかに見えた。反体制派が核子ロケットを奪い宇宙に飛び立つが、上院が虚無の彼方に見たものとは?――奔放なアイデアで描く表題作ほか、異星人が国王として君臨するイギリスの物語「王様の家来がみんな寄っても」、チェスの騎士が物語るあまりにも異質な宇宙の姿……「宇宙の探求」など、ワイドスクリーン・バロックの鬼才として著名な作者が、奔流のようなアイデアと、めくるめく華麗なイメージで読者を魅了する九篇を収録した傑作短篇集!
一読しての感想は、「非常に純度の高いSF」。 先に誤解のないように申し述べておきますと、「SFとしての純度の高さ」と、「物語としての完成度」は別物です。この短編集の「物語としての完成度」はお世辞にも高いとは言えず、状況説明だけで何のオチもなかったり、自説を滔々と述べるだけの尻切れトンボで終わったりと、普通の面白さを期待して読むと肩すかしを食う類いの作品だと思います。 そんな振り切れっぷりの高い作品群を、「面白い」と思えるかどうかがSF者の試金石。この場合の「面白さ」とは、「楽しさ」ではなく「興味深さ」です。 似たような作風のSF作家にA・E・ヴァン・ヴォークトが挙げられますが、不思議とヴォークトの作品は「面白い」と思えないんですよねー。両者の違いは、話のネタとなるアイディアのぶっ飛びぶりではないかと。著しく読む人を選びますが、鴨的にはこの短編集、おススメです。
鉄拳チンミLegends(19) - 前川たけし - 少年マンガ・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ